Nami Goto

ごとうなみDrawing展 “Je le Confie,”
2016年9月1日〜9月25日
木・金・土・日 12:00~18:00
@FFS_ラウンジギャラリー

9/2(金)17:00~23:00 オープニングパーティ ドリンク:Flatbar
9/9(金)18:00~ ミニコンサート 18:00~ 秋本紗智子(vo)、オハラナオキ(gt)ドリンク:Flatbar

soloDm

artists statement

Je le confine / Drawing Exhibition – flatfileslash / 2016.9.1-9.25

 2012年から私は線のドローイングを始めた。当初は線から誘発されたイメージを、具象画と抽象画のはざまで繰り返し描いていた。2014年になってそこに色彩を施し、2015年には鉛筆のみを使用し只管短いストロークを繰り返し描くものへと変わった。更に、2015年半ばより線が小さな丸に変わり、現在に至っている。今展では2015年と2016年のものを並置した。会場正面左側、上下2列に展示したA3サイズのドローイングは、鉛筆で2015年に制作した。画面端に使用鉛筆の種類と所要時間、及び描画場所を記してある。壁正面には2015年秋から2016年に跨ぐ、漫画用として売られているコピックペンの極細を使用して描いた丸のドローイングを展示した。左側にある英文を添えたドローイングが最初に描き始めたもので、正面を経て右側へいくにつれ最新のものとなる。線が丸へ変わった理由は覚えておらず、だから、さほど意味もないのだろう。こうして並置してみると、「ただ線を連ねる」「ただ丸を連ねる」という同じ行為で出来上がった画面が、形の体が変わるだけで、絵から滲み出す印象が変化するのが面白い。
 
 私は、線も丸も、描き始めるレイアウトや描き終えるタイミングに意図的な策略を盛り込まないようにしている。「意味なくそこから描き始め、その時そこで終わった」という、説明のしようのない状態に始終したい。その結果、画に何らかのイマジネーションやイリュージョンが生まれてくる方が、自由でいい。人が持つ多面を、自我の得る知識や思考で覆ってしまったり、若くは無理やり一つに絞り込んだり、又は見無かったことにすることは私にできない。在るものを、あるがまま解放させていくことは未知へ己を委ねることになり、ここにアーティストたる技量と喜びがあると私は信じている。今回のドローイング展のタイトル「Je le confie」は仏語で「私は委ねる」という意味で用いた。これは、作画を「世界」に委ねることにした、私の姿勢を表している。自分でも神でもあなたでもなく世界に委ねる。でもそれは、自分でもあり神でもありあなたでもあるのかもしれない。世界とは何か私は知らない。

 右壁面には、木製パネルの黒のドローイングを展示した。この黒のドローイングも他のものと同様、画面最深部にペンで丸が描いてある。パネルに描かれた丸の上からハードパステルとグラファイトを定着させ、それを擦り、さらに黒を重ねまた擦るという行為を幾度も繰り返し、出来上がった。うっすらと地に見えるペンのドローイングが、黒の透明感を感じさせているように私には見える。つきあたら無い空を搔く黒の気配に触れている。

 白と黒が対をなしているこの数年の作業が、何を語りかけてくるだろうか。

text by Nami Goto


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