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 「団塊」「バブル」「ロスジェネ」「ゆとり」といった世代論で出現を意味付けるのはつまらないし、世代差異や夫々の特異性に言及するような含みはここにない。80年代90年代に出生した青年たちの瑞々しさと決断の様態は、つまり作品に顕われるだけのことにすぎない。地方地域における20代、30代の若手作家(画家)は、地域コンテンツの希有な結晶のようなものであり、地場産業のサスナビリティーとは異なった、生血の通った運動体として、その象徴性を育ませるべく自主的な展開構想が各様作家自らに芽吹いている。組織や群れのシステム下で連綿と無知の柵(しがらみ)を教条的に諭されるしかない環境から逃れ出ている出現者は、然し、創作者故の孤立する宿命の鎖に繋がれている。
 こうした企画を、無色透明に展開することは、まず併置される作家(画家)たち各々が、作品強度の再認識を展示空間の現場によって促され、作品併置の隣接した距離感で刺激を照応することで、構想を深める手がかり(内省・展開)が生まれるだろう。そうした照射の展(ひら)けとして、受け止める者たちは、浅く深く作品との距離を調整するものだ。個人の倹しい「自由」の宣言である作品は、絵画という形を借りた、環境と人間の現在性の証である。良い悪い好き嫌いといった、なめた受け止めではなく、「観る」ことを磨きにかける対象世界として、そこに向き合い、作家(画家)たちの行方とこちらの視線の彼方の交錯を朧に立ち上げるように、眺めてみたい。

文責 町田哲也(80s90s企画)